情報化社会である現代では、街中には様々な情報があふれています。それらの情報――たとえば看板の文字、店頭のスピーカから聞こえてくる宣伝音声――は、見る者・聞く者の心にうったえかけるため、知覚的表現(例:文字のフォント、音声の調子)に工夫が凝らされていることがほとんどです。すなわち私たちは、言葉の意味に沿うような知覚的表現をうまく用いることで、効率的に情報伝達を行うことができるという直観を持っていると考えることもできます。こうした知覚的表現が言語情報処理に及ぼす効果について検討すべく,コンピュータを用いた認知心理学実験を実施しました。実験の際には、言語情報処理の指標として、潜在記憶(implicitmemory)および視線を計測しました。一連の結果から、語と一致した知覚的表現が用いられている場合、その語は(不一致な場合と比較して)より流暢に・優先的に処理されていることが示唆されました。このことは、教授法・教材開発の面からみても、非常に有用な知見であると考えられます。教育・研究活動の紹介情報化社会と言われて久しい現代では、とかく「情報が多ければ多いほど良い」とみなされがちですが、それは心理学の知見には反しています。いかに情報をデザインすべきか?どうしたらもっと情報を「よく伝える」ことができるのか?こうした問題は、私たち一人ひとりが日常で対峙する問題でもあり、軽視してしまうと重大なミスや誤解を招いてしまいます。特に、「受け手にとっての情報の見えかた」にまで踏み込んだ研究をすることで、目指すべき情報提示や、コミュニケーションのメカニズムの解明を目指しています。教育面では、現在、大学生を対象とした心理学の授業を複数受け持っています。講義では、人が日常生活で行っている情報処理のメカニズムに関する研究や、それらの知見をどのように教育・学習へ活かせるのかという点について解説しています。また、卒論生・内地留学生の指導や教員採用セミナー等も担当しています。今後の展望これまでは大学生を対象とした研究を行ってきました。今後はもっと対象を広げることで、例えば読み書き困難を抱えた方への支援や、幼児におけるコミュニケーションの研究などへもつなげていこうと考えております。研究や教材開発のためにご協力くださる企業・自治体がありましたらお声かけいただけますと幸いです。社会貢献等大学と地域とを結び、一緒になって発展していける活動に取り組んでいきます。(特徴と強み等)(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)教育心理学、認知心理学・文字および音声がもたらす感性情報について・感性情報処理と言語情報処理の相互作用に関する研究・情報の受け手の立場から言語的コミュニケーションを捉える試み適切な情報デザイン実験による効果検証日本教育心理学会、日本認知心理学会、CognitiveScienceSociety等認知心理学実験により、教材・教授法の効果について実証研究が可能です。みやしろ2017年5月更新TEL:028-649-5344分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項URL: -Mail: miyashiro[at]cc.utsunomiya-u.ac.jp研究概要学校教育教育心理学共同教育学部助教宮代こずゑ
元のページ ../index.html#69