宇都宮大学広報誌 UUnow 第54号
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SNTooii ブルビルとは何かを理解するための共通言語的な役割を果たすことにつながっています。現在は、国際サステナブル建築推進機構(下、街区や地区レベルを対象としたlの開発と適用について取り組んでおり、宇都宮市などの各地区のサステナビリティを測っているところです。建物の環境負荷として、建設に起因するエネルギー消費とCO2排出量も重要な課題の一つです。一般的に建設エネルギーは運用エネルギーの18〜20年分のエネルギーに相当します。街中に建っている建物は、外観から想像し難いですが、大量の資源とエネルギーが投入された結果としての構造物であり、こうした認識の上で、建物や都市を見ると、また違ったかたちで見えてきます。大量の資源とエネルギーを投入して造った建物をより上手に長く使いこなしていくことが重要です。都市のコンパクト化や再開発の中では、建設エネルギー・CO2の負荷を考慮することが重要です。建設エネルギー・COSBE2に関する評価については、国際エネルギー機関作業グループにおいて検討を行い、)のその作業結果は、Annexドラインとして発行されています。■半外部空間の提唱半外部空間での滞在スタイルとして、近年、アウトドアリビングなどの取り組みが進んでいます。こうした新たなスタイルに関して環境的な視点から、半外部空間で過ごすことの快適性の定量化や快適にするための設えの在り方を検討しています。宇都宮は夏暑く、冬寒く快適性の低い都市と思われていますが、日除けや風通しを工夫することで、半外部空間では一年を通じて、快適に過ごすことができる時間帯があるという特徴が分かりました。宇都宮市内の街中や郊外などにおいて、半外部空間で過ごすスタイルを試行し、大谷などでは空き建物をリノベーションしたOHYAどで屋外ゼミなどを試行しながらスタイルと設えの検討を進めています。IEAEBCのデッキ空間なのAnnexBASE私私新しいワークスタイルとしての半外部空間でのゼミ(OHYA BASEにて)IEA Annex57 建設エネルギー・CO2評価ガイドライン57評価ガイ57高校生のとき、出会ったのが尾島俊雄先生の『熱くなる大都市』『絵になる都市づくり』(NHKブックス)の2冊です。ヒートアイランドの問題を指摘し、「目に見えないところで都市は支えられ、負荷が発生している。下支えをしっかりしないと美しい都市は造れない」ことが提示されています。この本をきっかけに尾島先生が在職していた早稲田大学理工学部に進みました。一時期は周りに触発されて建物の設計を志し、設計事務所でアルバイトをして、夏休みには朝9時から夜中まで働きました。しかし、元々都市環境への関心から入学したことを思い返し、4年のときに尾島先生の研究室に入りました。40人もいる大きな研究室で、スペースが足りず、授業後や土日は鷺宮にある先生のサテライト研究所に行きました。様々なプロジェクトが動いていて、図面を描いたり模型を作ったり、来客の対応もしました。先輩たちとは、まさに同じ釜の飯を食って熱い議論を交わし、濃密な時を過ごしましたね。高さ1万メートル規模の建物を考える超々高層プロジェクトは、今考えると「人類の行きつく先はこれでいいのか」という先生のアンチテーゼだったと思います。修士課程では地方都市の新幹線新駅前の開発に取り組みました。水に着目し、雨水調整池を線状にして道路脇の自然な水路を整備すれば、同じ役割でも配置を変えることで豊かな景観につながると考えました。今からみると、それほど新しくないかもしれませんが、当時は頭から血が出るくらい考えて研究論文を書いたのです。学生時代は西ヨーロッパも旅行しました。印象に残っている都市はスイス・ツェルマット。マッターホルンの麓で電気自動車や馬車が走り、ガソリン車は進入できない。日本でも実現できないかなと思いましたね。そうした視点は今につながっています。現地を見ないと分からない問題があり、学生には現場を見るように指導しています。コロナ禍でフィールドワークは難しくなりましたが、半外部空間で過ごすことを考える機会になりました。気密性や照明・冷暖房によるエネルギー消費の改善にもつながりますし、何をやっているかが、外部の人に見えることは関心を持ってもらえるチャンスです。新入生にも、地方は面白い、東京でなくてもいい取り組みができる可能性があることを知ってほしいですね。大学の外側にも学ぶ場所があり、街そのものがキャンパスなのです。13●UUnow第54号 2022.4.20旅先のツェルマットで。後ろはマッターホルン都市環境につながる学生時代横尾 昇剛私私私私私私私私

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