宇都宮大学広報誌 UUnow 第55号
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●学生へのメッセージ       います︒そこを生物が棲める環境に戻す河川そのもののリノベーションを実験的に始めています︒今年3月に策定したのが未来ビジョン﹁みんなでつくる釜川ミライ﹂︒国土交通省の官民連携事業に釜川エリアの取り組みが採択され︑宇都宮市やこれまでの関係者︑地域住民︑宇大等を含めた研究機関と一緒に協議会を立ち上げました︒ビジョンは﹁街を知る︑街を考える︑街をつくる﹂の3本柱ですが︑リサーチ結果である﹁街を知る﹂を厚くしています︒情報を市民と共有し︑意見を出してもらってビジョンを更新していく計画です︒また︑河川と道路︑民間空間を一体的に考えられるのも協議会の強みです︒目指していて︑生物多様性の調査もしています︒汚いイメージのある川でしたが︑実はアユやヤマメが棲めるくらいの水質です︒街中は二層化され︑コンクリートで固められて釜川は二層化してから30年経っていて大規模修繕のタイミングがいずれ来ると思います︒そのときのためにも準備しなければなりません︒■大規模建築の公共空間造りに参画就職した設計事務所では︑まず横浜市新庁舎の設計で低層階のパブリックスペースを担当しました︒今は︑浜松町駅前の﹁芝浦一丁目プロジェクト﹂というツインタワーの設計やシンガポールでのプロジェクトに関わっています︒横浜市新庁舎の低層階は市民に開かれた場で︑市役所でありながら店舗︑レストランが多く︑イベントスペース︑港が一望できるラウンジもあり︑観光客の休憩所にもなっています︒会社は市民の意見を建築に反映させるためワークショップと建築デザインの両方をできる人材を探していたことと︑学生時代からの釜川での経験が重なる部分が大きく︑採用されました︒公平性や公共性を考え︑誰もが来られる場所づくりを意識しました︒ ●学生へのメッセージ     か し た外観に自分の経験からしか言えませんが︑やりたいことを全力でやってほしいです︒中途半端な時間︑休み︑遊びも必要ですが︑やったことは裏切らない︒点数やお金にならなくても知識︑経験として血肉となります︒BASE執筆・編集など︑日光で暮らしながらできることに様々な角度からアプローチしています︒■ここだからできる場所づくりを所属する設計事務所では︑建築の設計監理のほか︑事業開発や場所の運営にも携わっています︒大学院生のとき︑宇都宮市大谷町をフィールドに実際の空き物件を題材にした設計課題があり︑私は現在の﹁OHYA﹂となる宴会場跡地をサイクリストの拠点として提案しました︒このときの講師塩田大成氏が現在の会社の代表です︒この課題では建築単体の設計だけではなく︑収支を含めた事業企画から︑周辺への派生効果を想定してエリアの将来像を描くところまでを実践的に学びました︒こうした建築設計だけに留まらない︑その場所だからこそできる場所づくりを仕事で実践しています︒入社して最初に関わったのが大谷町のガソリンスタンドを改装したイタリアンレストランです︒大屋根を残し︑既存の特徴を活なっています︒また︑宇都宮市内で観光に力を入れている竹林では︑観光客向けトイレを竹を用いて設計しまるOHYABASEした︒どちらもそこにある資源を活かしています︒他にも8月にオープンした駅前の大型商業施設では餃子店の内装設計や日光発の物産店の設計にも関わりました︒餃子店では︑日光杉や大谷石など栃木県産の素材をふんだんに用い︑カウンター腰壁の陶板︑照明などにも随所に地域の作家との共同作品を取り入れ︑宇都宮という街だからこそできる意匠を実現しました︒こうした設計監理業務の他にも︑家具の商品開発や自社で運営す営にも関わり︑時にはキッチンに立ち︑コーヒーを提供したりすることもあります︒社会人は想像以上に楽しいということを伝えたいですね︒社会人になるとできることも広がり︑時間も自分のやりくり次第でどうにでもなります︒やりたいことを続けていけば︑いつかどこかでいろんなことがつながり出して︑いつの間にか実現していたり︒社会人になってもぜひやりたいことに挑戦し続けてほしいです︒・もみじ図書館の運 9●UUnow第55号 2022.10.20リノベーションした「KAMAGAWAPOCKET」大谷町のイタリアンレストラン未来ビジョン「みんなでつくる釜川ミライ」竹林の観光客用トイレ

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