宇都宮大学 入学案内 2022
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Utsunomiya University | Guide Book 2022どのような研究を?東日本大震災の福島原発事故によって、放射能汚染を受けた森林のモニタリングをしています。特に、森林の樹木一本一本がどれくらいの汚染を受けているのかを解明するために、現地調査と実験を織り交ぜながら木の内部の汚染濃度の測定を進めています。木の種類によって性質も様々であるため、多様な種での調査が求められています。そのテーマを選んだ理由は?所属する森林生態・育林学研究室では、継続的に福島原発事故による森林の放射能汚染について調査してきましたが、私が樹木そのものに対する汚染調査を研究対象にすることで、土壌、葉、林床植生などのデータとつなぎ合わせ、森林の網羅的な放射能モニタリングが可能になるのではないかと考えました。また、森林という大きなスケールよりも樹木という小さなスケールでの研究に面白さを感じていたということも理由です。最近の日本では木造建築への関心も高まっていて、用いられる木材の安全性を見極めることも重要だと感じていますが、私の研究はその指標の一つとして役立つと考えています。同様の研究を行っている人が少ないこともあり、大学院では研究の質を高め、発展させていけるよう真摯に取り組んでいます。研究・調査の進め方は?主に、2018年に採取したブナとイヌブナを細かく砕き、放射性物質である放射性セシウムの濃度をゲルマニウム半導体検出器で測定しています。木の種類ごとの「放射性物質が中心に集中しやすい」、「ほとんどが樹皮に残ったまま」といった傾向を見極めたり、樹木の放射性セシウム量を算出したりします。また、日本森林学会等で研究成果を発表する機会があることも励みになります。指導教員の大久保達弘先生からは、放射能汚染のメカニズムや特性、解析手法等と併せ、多様な形式での発表手法もご指導いただきました。将来は、ここで学んだことを生かし、林業、森林行政等における諸課題を一つでも多く解決して日本の森林環境の改善に役立ちたいと思っています。私は研究を始めた当初、「未知の問題に取り組むなんて、自分にはできないのではないか」と思っていました。しかし、日々研究をしていると、たとえ小さなことでも何かしらの発見があり、疑問が生じて、解決したくなります。これを繰り返していたら、新しいアイデアに辿り着きました。教科書にない問題の答えを探すのは、すでに明かされた答えを探すよりも時間がかかりますが、とても面白く、もっと続けたいと思ったため今に至ります。皆さんもぜひ、自分の興味のある分野を究めてみてください。「研究」と聞くと、とても難しくて複雑なイメージを持つかもしれません。確かに複雑で、途中で迷ってしまうことが私にもあります。それでも、「誰かの役に立ちたい」という気持ちが研究をする際には大切なのではないかと思っています。だからこそ、その研究が評価されれば、誰かの役に立てたことが実感できるので本当に喜ばしいことです。高校生の皆さんにはぜひ、社会に対する自分なりの問題意識や、誰かのためにこうしたい、という思いをもって大学に入り、自身の興味分野を深めて欲しいと思っています。もしあなたが大学に進学したい、就職したいと思うとき、その理由は様々だと思います。高校で好きなことが見つかった、将来就職するために必要だから、自分のやりたいことが見つからないからとりあえず進学…なんて方もいるかもしれません。皆さんの理由がどうであれ、どのような状況でも楽しく生きるためには必要なことがあります。それは「いま自分が何をしたくて、何をするべきなのか」を考えることです。どんな些細なことでも構いません。自分から動き出す主体性と、自分の人生のクオリティを自分で上げる努力が必要ではないでしょうか。そして、皆さんが悔いの無い人生を過ごせることを願っています。地域創生科学研究科 修士課程工農総合科学専攻 森林生産保全学プログラム2年宇都宮大学農学部森林科学科卒業埼玉県 栄東高等学校出身大内 翔平福原 玲於茄中島 芳中島 芳「樹木一本」の調査研究から「森林全体」の環境改善をめざすNakajima Kaoruキミへのエールキミへのエールキミへのエール大学院

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