瀧本■研究を学生への教育、社会との連携に結びつけるで歩く「留学生と防災まちあるき」を実施しました。日本のように歩いて行ける距離に避難所がある国は多くはなく、避難所の概念も国により異なります。留学生には「小学校にある避難所に初めて行き、ルートも確認できてよかった」との感想があり、防災だけではなく地域を知る経験になりました。地域の方からは「これほど多くの留学生が住んでいるとは思わなかった」と言われました。普段から地域との交流がないと災害時に困ることもあります。留学生と日本人学生、及び地域の方との防災を通じた交流を、教育プラス実践のプログラムとして今後も続けていきたいと思っています。ズムを正しく理解してほしいです。例えば都市化が大きく影響するヒートアイランド現象は二酸化炭素で起きると勘違いしている学生も学生たちには自然のメカニ早川興味がある範囲はとても熱います。こうした問題に興味、関心があるから正しく理解しているか、というとそうではない。自分が持っている興味、関心を正しい理解とともに前へ進めるように促していきたいです。学習指導要領でも、多くの箇所に「持続可能」という言葉が入っています。自分の専門分野を通じて、持続可能性について当たり前に伝えていける教員を育成したいという思いを強くしています。心に勉強するのですが、それ以外のところの関心はまだまだ低い。例えば農業は気象条件や土、植物の生理、分子生物学的分野だけでなく、社会・経済状況も関係します。自然生態系や社会・経済との松金次に、先生方の研究が学生早川土壌有機物の分解と蓄積のつながりというものを巨視的に捉えるのが苦手になってきていると感じるときがあります。アンテナをどんどん拡げていって、勉強していく姿勢を持ってもらいたい。好奇心を刺激する教育をしていければと思っています。への教育や、社会との連携にどう結びついているのかについて話していただきます。プロセスの研究が世界的潮流とどう関係するかというと、SDGsが国連に採択された2015年にCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)がパリで開催され「4‰(パーミル)イニシアティブ」が提唱されました。4‰というのは0.4%のことです。全世界の土壌中炭素の0.4%を毎年貯めていくことができればカーボンニュートラルを達成できるという推定に基づき積極的に農地に炭素を貯めていく取り組みを奨励するものです。宇大の附属農場で温室効果ガスを測定しているのも、これに関連しています。稲からどれだけ温室効果ガスが出ているのか定期的に測っています。炭素収支をみるのが目的なのですが、堆肥を使った飯塚留学生と日本人学生の防災場合と化学肥料を使った場合とでは炭素収支が変わってきます。農場では牛糞堆肥を使っているのですが、堆肥中の炭素の3、4割は稲を栽培している間に温室効果ガスのメタンとして出ていってしまいますが残りの2割から4割くらいは土に残って貯金されていく格好になり、「4‰イニシアティブ」の達成に貢献する方向に働くわけです。いかに生産量を維持しながら炭素の吸収源として働かせていくかという農地の土壌管理を学生と一緒に研究を進めているところです。管理技術を提案できれば社会に還元できるのではないかと考えています。意識について比較調査をしたところ、留学生は災害の経験値や知識は低いですが、食料や水の備蓄などの災害の備えについては日本人学生より意識が高いことが分かりました。また、まちあるきのプログラムで地域の方と交流していく3●UUnow第56号 2023.4.20留学生と防災まちあるきプログラム
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