宇都宮大学広報誌 UUnow 第56号
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私の役割は対戦相手の分析です。4人の分析チームで分担し、私は初戦のドイツ戦、第3戦のスペイン戦を担当しました。対戦相手の強み、弱みを情報収集し、監督、選手、コーチングスタッフに伝えます。どうしたら日本代表チームの良さが発揮できるか考えながら相手を分析することが大切です。試合中は目まぐるしく状況が変化します。「うまくいった」と思った瞬間に、小さな要因から逆転されることもあります。手元のデータだけでなく、現場では盤面や相手選手の状況をも把握しながら監督らに正確に伝え、最良の決断ができるよう、サポートしています。近年、試合中の選手交代人数が増えるなど、戦術の複雑性が増しており、一層この役割の重要性を嚙み締めて試合に臨んでいます。事前の情報収集は映像のほか可能な限り現地で相手の動きを実際に確認します。情報を「脚で稼ぐ」感覚です。また、強豪国のリーグで戦う日本人選手からも、ヒアリングを重ねています。全てが印象深いのですが、第3戦のスペイン戦は、0―0か1―1のロースコアの引き分けではグループリーグを突破できない、勝つしかないという状況に追い込まれながら勝てたのは選手の力。この試合の準備をしてきた私としても、ロッカールームで喜ぶ選手たちの姿が見られたことは何よりもうれしかったです。ョンは苦手。しかし、選手一人一人を理解して、個々の力を生かしたいからこそ、コミュニケーションは大事にしています。単に分析の資料、映像を作るのが目的ではありません。分析結果を監督、選手に最適な形で伝え、結果、選手――カタールW杯では日本代表の見事な活躍がありました。寺門さんはどのような役割を果たしたのですか。――今回のW杯で特に印象に残ったことは?――代表チームには立場の違う選手が集まっています。どのようにして一人一人と信頼関係を築いていますか。私も私生活ではコミュニケーシ昨年、カタールで開催されたサッカー・ワールドカップ(W杯)で強豪国のドイツ、スペインを撃破し、世界を驚かせた日本代表チーム。森保一監督を支え、チームのテクニカルスタッフとして対戦相手の分析を担当したのが教育学部OBの寺門大輔さんです。サッカー界の最前線で働く現在のミッションや、学生時代に学んだことなどを伺いました。■W杯で強豪連破、情報分析で支えるグラウンドを背景に語る寺門さんUUnow第56号 2023.4.20●8Terakado Daisukeサッカー日本代表テクニカルスタッフPROFILE東京都出身。1993年、宇都宮大学教育学部入学。97年、筑波大学大学院に進み、修士号取得。99年~2013年、Jリーグ・ヴェルディ川崎(09年から「東京ヴェルディ1969」に改称)のテクニカルスタッフやコーチを務め、2014年から日本サッカー協会で代表チームや世代別代表チームの分析担当を歴任。日本サッカー協会テクニカルハウス所属OB.OG.INTERVIEW寺門 大輔「勝たせたい」SAMURAIBLUE 快進撃の舞台裏— 限界よりもう一歩「チームのため」全力で挑んだ日々 —

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