宇都宮大学広報誌 UUnow 第57号
6/16

地 域防災部門は分野、組織、地比較的災害が少ないとされてきた栃木県でも、令和元年東日本台風など近年は河川災害が頻発し、宇都宮大学には自治体や地域の方々から共同研究や指導助言の要請が増えています。研究者が個別のプロジェクトとして対応してきましたが、大学として一元的に取り組み、継続性という観点では、研究 者の専門領域とつなげていく必要があります。また、防災に関心を持つ学生も増えています。そうした機運が地域防災部門発足の背景にあります。地域デザイン科学部には、ソフト面のまちづくりに主に取り組むコミュニティデザイン学科とハードウェアに関わる建築都市デザイン学科、社会基盤デザイン学科があります。防災はソフト、ハードの両面で考える必要があります。学部としての強みを生かしていくことを考えたとき、地域防災は非常にマッチしたテーマです。域を超えた連携を推進するための組織で、防災研究、防災教育、地域連携が3本柱となります。栃木県全体の防災力を上げるために貢献したいので、地域デザイン科学部に閉じず、他学部はもちろん、他大学との連携も大切にします。具体的には、防災士の学び直しの場を提供していきます。知識、技術を得るだけでなく、防災士の交流、組織化を促進できる場です。災害があったときに防災士が力を出し合い、相談できるネットワークが大事なので、知の拠点である大学が地元と結びついていくことは意義があります。企業からは、それぞれが持つ資源を生かしたいという相談もあり、協働していきたいです。地球環境や気候変動対策は大事ですが、それを栃木県に置き換え、何が重要なのか見ていくことが地域防災の考え方です。自治体や住民組織が防災力をつけ、発揮できるようにすることも必要です。山地災害や竜巻などは栃木県で起こりやすく、空き家が多いと、災害時にどんな問題があるかといった地域特有の課題を考えていく必要もあります。世代を超えて共通の課題となる防災は、まちづくりの中核に位置づけられます。防災をキーワードにすることで、これまでつながり合えなかった人たちとつながり、地域の再活性化も期待できます。平常時のまちづくりの成果が災害時に現れます。       地域デザイン科学部附属地域デザインセンターに2022年害対応力を高めるため大学の研究を生かし、地域で活躍する人々、自治体、住民組織などをつなぎ合わせていく役割が期待され、様々な取り組みが進んでいます。部門長の石井大一朗准教授が活動の概要について語りました。●部門発足の背景●地域の防災力を上げる●防災はまちづくりの中核石井大一朗准教授被災地での自主防災組織や居場所づくりに関する研究、実践活動に取り組む。博士(政策・メディア)。専門はコミュニティ政策、地域自治12月、地域防災部門が発足しました。栃木県の地域防災力、災UUnow第57号 2023.10.20●6 地域デザイン科学部附属地域デザインセンター2222 地域防災部門「防災まちづくり」の実践

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る