宇都宮大学広報誌 UUnow 第57号
8/16

研究室は、エンジンに興味があったので、熱工学研究室を選びました。お世話になった秋山光庸先生(現名誉教授)は、個性的で英語もバリバリ使い、卒業されたアルバータ大学(カナダ)時代のお話をよく聞かせていただきました。当時、研究室の壁はなぜかピンク色で、秋山先生は「気分が高揚し良いアイデアが出てくる」とおっしゃっていました。秋山先生をサポートされていた杉山均先生(現名誉教授)は、自動車会社でCVT(無段変速機)の開発に携わった方でした。アドバイスは、いつも論理的かつ現実的。社会人になってその教えの真の意味を理解することができるようになりました。研究室では、季節毎にハイキングやスキー、七夕やクリスマス等のイベントを企画したことも良い思い出です。卒業後に杉山先生にお会いした際、「研究室のチームビルディングになった」との言葉をいただき、無意識のうちにチームワークの形成につながっていたのだと嬉しくなりました。当時、熱研は厳しい研究室と言われていましたが、先生方や同じ志を持った仲間たちに恵まれ、4年生から大学院を含めて3年間、有意義な時間を過ごすことができました。実は会社に入る前、自分の役割や働き方について特に明確なビジョンを持っていたわけではありませんでした。ただ、〝一番ではない会社に行きたい〟と思っていました。入社後、配属された工場では、車両組立技術員として、工場の工程改善や生産設備導入を担当しました。そこでは、現場で作業する方々から、クルマづくりの基礎を教えていただき、一つ一つの部品の構造や精度の持つ意味や、作業工程のポイントを少しずつ知ることにより、製造工程の全体が見えてきました。最もお客様に近い工場は、安全はもちろん、品質も納期も厳しく目標が設定され、クルマづくりの面白さと厳しさを知る原点になりました。最も楽しかったのは、新任課長――大学で影響を受けた先生は?――今の仕事に就いた経緯は?――関わった仕事の中で印象深いものは?■印象的な恩師との出会い■クルマ造りの工程全体を見る面白さMatsumoto Masashi������(写真左から)の3人です。�������、箭内柊胡学生時代の松本さん(前列左)と研究室の仲間UUnow第57号 2023.10.20●8OB.OG.INTERVIEW松本 将師日産自動車株式会社 車両生産技術開発本部生産技術研究開発センター先進生産システム開発課 主管―ニッサンのロボティクス技術、デジタルヒューマンサイエンス技術の具現化を目指して―日産自動車独自のクルマづくりコンセプト「Nissan Intelligent Factory」を実現した栃木工場の生産ライン。高精度なクルマづくりにロボットを導入した革新的な開発に携わったのが工学部OBの松本将師さんです。北米新工場の立ち上げに関わるなどクルマづくりの現場で新しい道を切り拓いてきたキャリアをお話しいただきました。インタビュアーは工学部基盤工学科4年の��������、佐藤泰策石塚凱晴ミライのクルマづくりと働き方を革新する

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る