i-iIntelligent として2年間過ごした九州工場で、4車種の新車の生産を立ち上げ、厳しくて熱い、モノづくりのダイナミックさを経験したことです。現在、入社30年目ですが、累計約7年を海外拠点で過ごしています。北米ミシシッピ州では新工場立ち上げに携わりましたが、初号車がオフラインした時は、現地メンバーと共に歓喜し、これまでの努力を讃えあいました。タイではしい製造ラインを立ち上げるというミッションに、文化や風習の違いを認識しながら北米での経験を活かして対応し、プロジェクトを推進しました。現在担当している技術開発も外せません。現場のニーズを正しく把握し、新技術をどのようにマッチングさせるか、それによりどのような新しい価値を生み出せるか、に重点を置いています。最新のテクノロジーはスタートアップ企業や大学とコラボし、現場や部下と論議を重ねることで、様々な新技術でミライのクルマづくりや働き方の革新を加速していきたいです。WnWnの関係を築き、共に成長今関心があるのは、企業との連携により、日本のモノづくりを元気にすることです。日本の中小企業は、オンリーワンの高い技術を持つところも少なくないのですが、その技術の価値に気づけていないことも実は多かったりします。私たち日産自動車は、そのような企業を発掘して連携することで、したいと考えています。具体的には、自宅のある神奈川県相模原市の商工会議所と連携し、市内のロボットビジネス協議会会員の中小企業に対し、日産のモノづくりについて講演をしたり、仙台市の企業とは、みやぎ産業振興機構、東北大学との産官学連携を進めています。このように各地域の特性を活かした企業間、産官学連携をより強固にし、モノづくりを通した新たな価値創造と地域活性化に、微力ながら貢献したいと思っています。もう一つは、真の〝だれでも働ける職場〟の実現です。例えば、女性も、高齢者も、若者も、障がいを持った方も、その人の身体能力や志にマッチした安全で安心な職場を新技術で実現すること。栃木工場に導入した、N育つロボット〟や〝人とロボットの共生〟等がコンセプトであり、その解の一つです。人が得意なこと、ロボットが得意なことをうまく分担し、お互いの強みを活かして作業できるよう、センシング技術、AI技術、デジタルシミュレーション技術などを活用し、インクルーシブなモノづくり現場の実現に向け、技術開発を進めていきたいです。外界志向でしょうか。外から自分や自国を見る機会を作ってほしいと思います。学校や地域など日ごろ接するコミュニティは心地良いものですが、敢えて、異なるフィールドに自分を置いてみることは新たな気づきを得られる貴重な機会だと思います。私の初の海外経験は大学の卒業旅行で行ったカナダでしたが、入社後に出張の機会を得たアメリカでは、その国の大きさ、人種や考え方の多様さ故に、はっきりと自己主張する大切Factoryは、〝匠の技でissanさなどを知り、日本とのギャップに驚きました。もし、これらを高校や大学の頃に体験していたら、職業選択も変わっていたかもしれません。大学には留学生も多いですよね。異文化の彼らと積極的に交流することで、お互いの違いを理解し、自分を見つめなおすことは、とてもエキサイティングで意義深いことだと思います。また、自分の専門以外に目を向けることも大切ですね。例えば、異業種の展示会に行くことで得られるヒントは多く、私も最近は、医療・介護・食品などの技術展に出向いています。ここ数年リクルーターを担当しているので、宇大の学生と話す機会が増えました。後輩たちには自分がキャリアを重ねた中で得たことを積極的にお話ししていきたい。自分の言葉をきっかけに、一つでも新たな気づきを得ていただき、社会に飛び立つ際の一助となれば、嬉しいです。――今後の目標、夢は何ですか。――宇大生に持ってほしい視点は?■いつでも、だれでも、どこでも働けるための技術開発を■外からの視点も大切11カ月という短い期間で三つの新PROFILE栃木県出身。1992年宇都宮大学工学部機械システム工学科卒業。94年同大学大学院工学研究科機械システム工学専攻修了。日産自動車に入社。北米新工場立ち上げやタイ工場新ライン立ち上げ、タイ現地法人の副工場長など海外勤務経験も豊富。2021年から生産技術研究開発センター自動化設備技術課主管。23年に先進生産システム開発課に課名変更。新型電気自動車ARIYAの生産を行う栃木工場。高度化し続けるクルマを製造する技術がロボットによって実現されている。人には困難な作業をロボットが助けることで働きやすい環境を実現している。生産ラインに部品を供給する無人搬送車には、電気自動車のリユース・バッテリーを使用する等、カーボンニュートラルへの実現に向けた取り組みも随所に見られる。(写真:日産自動車株式会社提供)9●UUnow第57号 2023.10.20主力車が展示されているゲストホールを案内する松本さんと説明を聞く学生たち(栃木県上三川町の日産自動車栃木工場で)
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