宇都宮大学 研究シーズ集 2024.04
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図1.阻害分子固定化担体を用いたQS機構の制御【微生物のコミュニケーション様式の解明と制御】一部の微生物は、シグナル分子を交換してコミュニケーションをとることでバイオフィルム形成や毒素生産などを一斉に活性化します。バイオフィルムは虫歯や日和見感染症、植物の病気、水処理の分離膜閉塞などを引き起こすため医療・農業・食品・水処理分野で問題となっています。微生物同士のコミュニケーション様式の解明に加えて、抗生物質(ペニシリン等)の分解酵素のシグナル分子分解活性や、環状オリゴ糖のシグナル分子包接能を利用した微生物間コミュニケーションの人為制御を行っています(図1)。【排水中ホルムアルデヒドの微生物分解】化学工業、紙加工品製造業、繊維工業などで排出されるホルムアルデヒド含有排水(ホルマリン)を対象とした省スペース・短時間でのホルムアルデヒド分解に適した微生物とその分解酵素の機能解析・応用をしています。教育・研究活動の紹介生物全てに共通する酵素や生体膜、それらを構成する生体高分子の構造や機能、分析方法を物理化学的、生物物理的な視点で理解する講義を担当しています。研究活動では、遺伝子配列解析や遺伝子組換えを通して自然環境中に生息する細菌の生態を明らかにするとともに、有用物質の生産や有害物質の分解などの微生物機能を制御する技術への応用に取り組んでいます。今後の展望シグナル分子の受容体タンパク質を特異的に標識するプローブを用いて、自然環境中に生息している細菌同士や動植物と細菌の細胞間情報伝達機構の解明に取り組んでおります。微生物が合成する界面活性剤(バイオサーファクタント)の生産制御技術や、日和見感染症予防技術への応用を目指します。社会貢献等乳酸菌や納豆菌、日和見感染菌などの身近な細菌に関する出張講義を行います。特許出願状況:ホルムアルデヒド分解細菌に関する特許(企業との共同出願)(特徴と強み等)(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)微生物生態学、生物機能工学、高分子材料工学・有機合成プローブによる微生物の二次代謝を制御する細胞間情報伝達機構の可視化・抗生物質耐性細菌・ホルムアルデヒド耐性細菌の機能解析と応用・乳化破壊能を有するバイオサーファクタントグラム陰性・陽性細菌の培養,環境試料からの有用細菌の探索・同定,細菌の担体への固定化,標的タンパク質を大量生産する遺伝子組換え体の作製日本微生物生態学会、日本ゲノム微生物学会数リットルスケールの微生物培養、次世代シーケンサーを用いるゲノム解析なすのえり2024年2月更新TEL:028-689-7107分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項URL: http://www.chem.utsunomiya-u.ac.jp/lab/softmaterial/Mail: e-nasuno[at] cc.utsunomiya-u.ac.jp研究概要基盤工学科応用化学コースソフトマテリアル研究室工学部助教奈須野恵理

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