当研究室では、天然有機化合物に関する基礎的な研究を通して、人間社会の現在、そして未来へ貢献することを夢見ています。その一つの目標が、新しいメラニン形成調節剤の開発です。過剰な紫外線により私たちの皮膚は日焼けを起こしますが、その褐変現象はメラニン形成調節剤でコントロールできます。ツバキに含まれる天然物とその誘導体を有機合成し、生理活性を比較したところ、前者はメラニン形成を阻害し、後者は逆に促進することが分かりました(右図)。このように、当研究室ではメラニン形成の正負に切り替えるスイッチ分子の開発に成功しました。この成果は、日焼けや白斑を防ぐアンチエイジング剤の他、食品の褐変防止剤および植物病原菌の感染防止剤などへの応用が期待できます。教育・研究活動の紹介天然物から有用分子を設計するためには、化合物の単離、構造解析、誘導体合成および活性評価の各段階に精通していることが必要です。私たちはHPLCによる化合物の分析・精製、NMRとTOF-MS/MSによる構造解析、各種有機合成法および分光光度計を用いた酵素反応の精密解析などの技術を駆使して、研究活動を行っています。特に化合物の構造決定および有機合成に関しては、強い関心を持っています。また、日々研究に熱中する学生諸君は、新規化合物を生み出す原動力になっています。今後の展望地表に降り注ぐ紫外線の量は、オゾン層の減少などにより増加傾向にあります。また、地球の温暖化に伴って、農業生産を脅かす病害虫の被害地域は拡大しています。さらに日本社会は健康に対する不安が付きまとう超高齢社会へと突入しました。このように今後、人類は極限的な条件下での生活を余儀なくされるでしょう。多様な環境から生まれた天然有機化合物は、これらの諸問題を解決し、人類が未来を切り開くための鍵となるはずです。当研究室では、天然から分子を見つけ出す天然物化学と有用分子への変換を可能にする有機合成化学の知識を結集し、有用な生物活性分子群の創製を目指しています。当分野の技術は、農薬、化粧品および医薬品の新規素材の開発に応用可能です。これからも共同研究や社会人学生の受け入れなどにより、積極的な産学連携活動の展開を図ります。社会貢献等技術移転希望項目・有機合成・構造解析・阻害剤開発特許出願状況(特徴と強み等)(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)ライフサイエンス・酵素阻害剤、特にメラニン形成調節剤の開発・天然有機化合物の分析・構造解析・有機合成有機合成,誘導体化,天然有機化合物の分析・構造解析,チロシナーゼ阻害活性の測定,ペプチドの配列決定日本農芸化学会、有機合成化学協会HPLC、分光光度計、有機合成装置などにへいけんいち2022年7月更新分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項URL: http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/chemj/npc/index.htm Mail: nihei[at]cc.utsunomiya-u.ac.jp研究概要・特願2014-040124(レスベラトロール)・特願2012-047471(酵素阻害剤)SDGs事例応用生命化学科天然物有機化学研究室農学部教授二瓶賢一
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