宇都宮大学 研究シーズ集 2024.04
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卒業論文以来、泉鏡花をメインテーマにしています。鏡花(1873-1939)は、日清戦争後の1895年、硯友社の新進作家として登場し、約50年の長きにわたって日本文壇の表舞台で活躍しました。近代リアリズムを主流とする文学史においては「異端」と評されますが、夏目漱石・谷崎潤一郎・芥川龍之介・川端康成・三島由紀夫らが「天才」と認めた作家であり、100年ののちに読み継がれ、世界的にも高い評価を得ています。鏡花文学の成立と受容(=どのように創られ、どのように読まれてきたか)を研究することは、日本近代文学のもう一つの側面、幻想ファンタジーの系譜、古典文芸の継承と再生、日本の伝統的な美意識や死生観の反映を、変動する時代状況に位置づけながら、個々の作品の表現機構に即して、ミクロの視点から問い直すことだと考えています。ミクロへの着眼が日本文化や近代科学文明を相対化するマクロの視点に通じると確信しています。教育・研究活動の紹介学部生にむけた授業では、「近代小説」の面白さを伝えたい。読むほどに多様な解釈が浮上し、思考の迷宮へと迷い込む愉しさを体感していただきたい。小中高等学校の教室で文学教材をあつかう際の基本姿勢や技能を学ぶことにもなるはずです。着任以来の27年間、教育学研究科で修論指導に携わってきましたが(多くのゼミ生が小中高の国語教員として活躍しています)、2020年度からは、地域創生科学研究科の多文化共生学プログラムで、海外からの院生とともに、漱石や鏡花や川端などを読んでいます。日本近代文学の日本的特質を、あるいは日本を超えた普遍的魅力を、国際的視野で捉え返すことになるのではないかとワクワクしています。今後の展望専門的な研究は泉鏡花を基軸に進めますが、日本近代文学の面白さを、一般社会に向けて、特に若い世代にむけて発信したいと願っています。鈴木啓子監修『マンガで楽しむ名作日本の文学』(ナツメ社2018)はその試みのひとつです。また、文学作品の舞台化や朗読劇にも関わっていきたいと考えています。文学作品が優れた俳優によって音声化される時、言葉には命が宿ります。言葉が「意味」だけでなく「身体性」を放つのです。言語文化をいかに豊かに享受するか、享受の様式を次世代に継承するか、これが私のテーマです。社会貢献等宇都宮大学教育学部附属幼稚園長(H25-27),全国国公立幼稚園・こども園長会副会長(H27),栃木県子どもの読書活動推進協議会委員(H24-27),栃木県教科用図書選定審議会会長(H31-R2),大学設置審議会文学専門委員会委員(H30-R2),栃木市立美術館・文学館運営協議会委員(R3)など。(特徴と強み等)(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)日本近代文学・泉鏡花文学の成立と受容・近代日本の小説史・近代日本の幻想文学泉鏡花,小説,幻想,古典文学,古典芸能日本近代文学会・日本文学協会・昭和文学会・宇都宮大学国語教育学会・泉鏡花研究会など。科研費補助金・基盤研究C「近代日本における「夢幻」「幻想」の系譜-泉鏡花文学の成立と受容の検証を基軸として-」(R2-5)すずきけいこ2021年8月更新TEL:028-649-5257分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項URL: -Mail: suzukike[at] cc.utsunomiya-u.ac.jp研究概要人文社会系国語分野国文学・日本近代文学共同教育学部教授鈴木啓子

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