宇都宮大学広報誌 UUnow 第59号
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■建築的特徴■次の100年を見据えて建物は木造2階建、北側の石井街道に面して切妻桟瓦葺屋根の妻面を見せる外観は、両サイドの一段小さな切妻破風、正面中央部に張り出した玄関ポーチをアクセントとしつつも、全体的には凹凸が少なく装飾性が抑えられ、垂直性が強調された軽快な意匠が特徴的です。内部の講堂主室は正面に演壇を設け、ギャラリーに囲まれた吹き抜け部との境界を半円アーチで区切り、上部に架かる緩やかな木造5連アーチと共に大空間を控えめながらも美しく演出しています。その他、独立柱の柱頭部や階段手摺の幾何学的な装飾等、細部まで丁寧にまとめ上げられた軽やかで質の高い空間は、大正期に多く建設されたセセッション風の意匠的特徴を示すものであり、また現存する数少ない木造講堂として高い歴史性を有しています。平成21(2009)年の改修工事後は、大学の公式行事や学生活動の他、地域の方々にも講演会や展覧会、コンサート等に利用されています。歴史ある佇まいからテレビドラマや映画の撮影場所としても多く利用されており、2024年度前期に放送されたNHK連続テレビ小説「虎に翼」では、主人公の寅子が入学する明律大学女子部の講堂として撮影が行われました。峰ヶ丘講堂を含むヒストリカルゾーンは、これまで学内外の多くの方々のご支援に支えられてきました。長い間受け継いできた景観と精神を次の100年へと引き継いでいくため、また、地域の方々からこれまで以上に親しまれるよう、環境整備を行っています。皆様からの温かいご支援を心よりお待ちしております。公募により名称を「峰ヶ丘講堂」に決定登録有形文化財(建造物)に登録外壁改修工事歴史及び建築的特徴の解説遠藤康一講師(地域デザイン科学部 建築都市デザイン学科)3●UUnow第59号 【1】外観正面(北側から)【2】主室天井部の5連アーチ【3】演壇と吹き抜け部を区切る半円アーチと浮彫装飾【4】独立柱の柱頭部【5】階段手摺の装飾123452020 2017令 2平 292010平 22

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