l 7Top LeveResearch特色研究鳴き龍の測定③音を評価する:音が作り出す環境や空間をより良いものにするためには、実際の人の評価が重要です。好き、嫌いという評価は人によって異なるため、デザイン・録音した音を人に評価してもらう実験を行っています。「感じ方」を評価し、あらゆる人の心地よさを実現する人間による人間のための新たなデザイン感性情報学とは、物事に対する嗜好・印象と物理的なデザイン要素との関係を明らかにし、「感性」を設計に活かせる情報に翻訳する学問です。プロダクトデザインから地域設計まで、人が関わるあらゆる物事が研究対象です。長谷川光司・鶴田真理子研究室では、「音の感性を科学し、豊かな音空間を創造する」ことを目標とした研究を行っています。ここでは主な3つの研究を紹介します。①音を測る:空間の音響特性を知るためには、インパルス応答の測定が基本となります。インパルス応答とは、その空間の特性を包含した関数のようなものです。正確な測定と、信号処理を施すことで、自宅にいながらコンサートホールのような音場空間を楽しむことができます。②音をデザインする:ハイブリッド車などに搭載されている接近通報音のデザインを試みています。どのような音の高さや変化が万人にとって聞き取りやすく、警報感がありながらも不快でない音を実現できるかを研究しています。キミへのエール日光の東照宮・輪王寺の本地堂(薬師堂)の内陣天井には大きな龍が描かれており、その顔の下で拍子木を叩くと音が共鳴して、鈴を転がしたような音が響き、まるで龍の鳴き声のように聞こえることから、鳴き龍と呼ばれています。長谷川光司研究室では本地堂において鳴き龍のインパルス応答の測定を行い、信号処理による鳴き龍の再現を行いました。耳は目のように閉じることができず、身の回りの音が全て耳に入ってきます。そのため「音を人がどのように感じるか」という音と感性の関係を明らかにし、新たな音をデザインしたり不要な音を取り除いたりして豊かな音空間を創造することが重要です。音や感性に興味がある方はぜひ一緒に研究しましょう。情報電子オプティクスコース鶴田 真理子 助教人間と感性の工学快適な音空間を目指して、ヒトの感性を科学する。
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