宇都宮大学の大学院教育 2024
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宇都宮大学長 池 田 宰 大学院教育では、より高度な専門性と創造性を培うことが大きな目標であることは言うまでもありません。しかし、高い専門性は、幅の広い知識と教養に支えられてこそ確立されるものです。したがって、単に個別分野の狭い学びにだけ専念するのではなく、分野を超えて幅の広い学び、多様な視点、「複眼」を養うことが不可欠です。特に、現在、少子高齢化や人口減少、カーボンニュートラル、SDGs、デジタル・トランスフォーメーション、等々、様々な分野における新しく多様な課題や目標、そしてその対策などが、世界的レベルで加速度的に進められている中で、個別分野の先鋭化した能力だけでは、諸課題を解決する人材として通用しなくなる時代に入ってきています。また社会に影響力を持つ多くのイノベーションは、文系、理系を問わない、異なる分野との融合や連携で生まれています。こうした認識に立ち、本学では専門職学位課程を除く大学院の課程を地域創生科学研究科の1研究科にまとめ、全ての学生に、分野の融合を意識した専門性を養うと共に、分野を超えた幅広い見識、「複眼」を身に着ける契機を提供する教育プログラムとしています。 本冊子は、本学大学院の博士前期課程である地域創生科学研究科と教育学研究科専門職学位課程において提供されるすべての教育プログラムについて、大学院生を、どのような教育によって、どのような人材に養成するかを約束した“大学院教育プログラム・シラバス”であり、社会に対して本学が明示した“大学院教育の契約書”ともいえるものです。本冊子に加えて、学修内容にとどまらず具体的な達成目標や成績基準を明示した“教科シラバス”を合わせ見ることによって、本学の大学院教育の姿が一層明確に浮き上がってきます。本学では両者を有機的に結びつけることによって、大学院教育の質保障を確実に“見える化”しています。 大学院教育にあっても学士課程教育と同様、透明性を高め、養成する人材像や、そこに至る教育の道筋、すなわち大学院教育の全貌を具体的に示すことは極めて重要であり、特に分野を超えた幅広い見識を学び、また分野の融合を意識した教育プログラムを目指していく地域創生科学研究科においては、従来以上に重要性が増しています。更に、こうした内容を明示することは、本学大学院を学びの場として選ばれる受験生の方、教育プログラムの全体像と今の学びの位置関係を把握したい大学院生、さらに、修了生を人材として求められている社会に対しての責務でもあります。 この冊子が、本学大学院の教育プログラムを正しくお伝えする役割を十分果たすと共に、今後の本学の大学院教育の充実および改善の中で、さらに内容が充実したものに進化していくことを願っています。

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