生命工学科では、分子生物学、生化学、細胞生理学といった生命科学の基礎を身につけるとともに発生工学や幹細胞生物学、応用微生物学、バイオインフォマティクスなどを始めとする最先端の生命科学・生命工学を学ぶことで、再生医療(iPS細胞、ES細胞、クローン技術)、生殖補助医療(体外受精、発生工学)、食料生産・食品衛生(機能性食品、醸造、発酵工業)、健康増進(医薬品、有用微生物、化粧品、香料)、バイオエネルギー、環境保全などに関する新しい技術を創出する能力を身につけることができます。生命工学科では3つの分野※で先端的な研究を行っています。4年次に研究室に所属し、学部の集大成として卒論研究に取り組みます。半数以上の学生が大学院に進学し、より高度な研究に携わっています。※【3つの分野】 ★動物発生・細胞培養工学分野★微生物機能・生態応用工学分野 ★ナノバイオ・医薬工学分野専門科目名などの詳細は学科ホームページで。https://www.bt.yamanashi.ac.jp■研究室紹介★発生工学研究室究室教授/若山 照彦 助教/若山 清香・伊藤 大裕マイクロマニピュレーターによる顕微授精技術やクローン動物の作出は、再生医療や農業、さらには宇宙時代の生活を大きく変える可能性を秘めています。これらの技術は発生工学と呼ばれるもので、私たちはこの技術を駆使して従来不可能だった実験に取り組むと同時に、エキスパートの養成を目指しています。★発生ゲノム科学研究室教授/幸田 尚 助教/志浦 寛相初期発生における遺伝子発現の制御、胎盤形成の機構の解明など、人を含めた哺乳類の初期胚発生に重要な過程を分子生物学的なアプローチで研究を行なっています。また、次世代シーケンサーを使った単一細胞の遺伝子発現解析やゲノム解析のための新規技術の開発も同時に行なっています。★生殖細胞発生研究室教授/永松 剛生殖細胞は世代を超えて種の永続性を支える細胞で、特に卵子は胚発生能を担っています。私たちは卵子の発生過程をたどっていくことで、卵子の機能を保持するメカニズムの解明を目指しています。そして加齢によって低下する卵子の機能を補完する方法の開発に向けて研究しています。 ★応用微生物学研究室①准教授/山村 英樹 助教/小久保 晋抗菌・抗がん剤などの医薬品原料を生産する放線菌を日本各地・世界から探索しています。得られた放線菌は、ゲノム解析や新種提案、抗生物質の同定、植物栽培への応用研究を行っています。医薬・食品業界で必要とされる微生物の取り扱い技術や遺伝子解析、抗菌活性試験などの技術を身につけられます。★応用微生物学研究室②准教授/中川 洋史有用微生物である酵母は発酵食品や医薬品、化粧品の製造など幅広い産業に用いられ、さらに真核生物のモデル生物としても重要です。一方で、産業界では微生物の機能向上が課題となっています。私達は酵母を用いて、微生物の機能を高めるための新しい育種技術の開発や、ストレス耐性を強化するための研究に取り組んでいます。★微生物利用工学研究室准教授/大槻 隆司バイオの世紀と呼ばれる現在、人類が地球環境と共存して発展するにはバイオ技術が必要です。私達は生物の未知の能力を発掘し、その機能をタンパク質や遺伝子のレベルで解明し、バイオマス活用技術へ応用することで未来を豊かにする研究を行っています。★胚環境研究室★胚環境研究室教授/岸上 哲士 助教/大貫 喜嗣胚の発生は、卵子の老化や培養環境、また「核の質」などの要因により大きな影響を受けます。また胚や胎児の環境が個体の遺伝子発現や性質にまで影響することも明らかになりつつあります。私達は、哺乳類の個体発生や個体の性質に影響を及ぼす胚の仕組みを明らかにする研究を行っています。★器官形成ダイナミクス研究室教授/鈴木 堅太郎私達は、ライブイメージングや遺伝子改変マウスなど発生生物学的アプローチを軸に、器官形成および性差が形成される仕組みの解明を目指しています。さらに性を考慮した個別化医療に向け、組織、器官レベルで性差を可視化できる研究モデルの開発を行なっています。★細胞ポテンシャル研究室准教授/石内 崇士多能性を持つES細胞やiPS細胞に対し、受精卵は全能性を持つと理解されています。しかしながら全能性を分子レベルで理解することはできていません。私たちは独自の技術を開発しつつ細胞ポテンシャルの制御の仕組みを明らかにする研究を行っています。★蛋白質構造生物学研究室教授/大山 拓次タンパク質は生物の主要成分の一つであり、酵素や物質輸送、シグナル伝達など、生物の多彩な機能を実現する魅力的な分子です。私達はタンパク質の複雑な立体構造をX線結晶構造解析法を使って決定し、生物の仕組みを理解する研究を行っています。★ナノバイオテクノロジー研究室准教授/新森 英之近年、生体の機能に倣った科学はナノバイオテクノロジーという新分野へ発展しています。そこで我々は、生体機能を利用した新規な機能性材料・薬剤の開発を目指しています。具体的には、多彩な物質工場である生物をミクロな科学的視点で解き明かし、人に役立つ医薬品やバイオセンサー、バイオマシン、生体適合材料等の開発研究を行っています。★医薬分子工学研究室助教/川上 隆史私達は独自のケミカルバイオロジー技術を用いて、ガン、自己免疫疾患、動脈硬化症、アレルギー性疾患、アルツハイマー病、糖尿病、コロナウイルス肺炎などの様々な病気に対する新規ペプチド医薬品(分子標的治療薬)を開発する研究を行っています。また、それらの医薬品を発見するための新しいケミカルバイオロジー技術を開発する研究を行っています。
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