山梨大学 2024生命環境学部案内
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地域食物科学科は、食物(食品製造、食品栄養、園芸)およびワイン製造に関する知識・技術(微生物、機能成分、果実遺伝子)を学べる新しい学科です。バイオテクノロジーを駆使した果樹や野菜等の農産物の栽培、食品製造の科学的理解、栄養・有用成分の解析と利用、ワイン製造技術等を課題に、食物生産から食品製造までのプロセスを包括的に学びます。地域食物科学科では、4年次に研究室に配属され、食物やワインに関する卒業論文研究に取り組みます。下記の6つの研究室があります。園芸学、食品製造学、食品栄養学、果実遺伝子工学、機能成分学、発酵微生物工学について研究を行います。安心して食べられる野菜や果物の安定生産を目指して★園芸学研究部門教授/村松 昇 食は、私達に心身の健康と豊かな生活をもたらす大切な存在です。しかし、近年、食の安全を脅かす事件や、異常気象による農作物被害が多発し、多くの人が食に関する不安をつのらせています。当研究室では、安全な食物を安定的に供給するシステムの構築を目指し、情報通信技術の農業への利用を検討しているほか、植物工場の利用、これまで生産が少なかった果樹品目の栽培など、最新技術を用いた新たな農業に向けた研究に取り組んでいます。また、農薬や化学肥料を使わず、土壌微生物の働きを高める野菜の栽培法の研究も行っています。美味しいブドウをつくり、新しい栽培法を研究する★果実遺伝子工学研究部門教授/鈴木 俊二 助教/榎 真一・青木 是直 果実遺伝子工学研究部門では、「美味しいブドウをつくる・手間をかけず栽培する」をキーワードに、基礎研究および応用研究を行っています。「美味しいブドウをつくる」ために私たちは分子育種と古典的な交雑育種を組み合わせて、香りに特徴をもち、着色性に優れ、高品質でかつ病気に強い理想的なブドウの育成を目指しています。また、「手間をかけずに栽培する」ためにはブドウの樹の形にこだわり、省力的、高品質安定生産が可能となる新整枝・せん定法を研究しその有利性を明らかにしています。さらにもともと自然界に生息する微生物を活用してブドウを病害虫などから守る農薬の開発も行っています。ワインの「おいしさ」を科学する★機能成分学研究部門准教授/久本 雅嗣 助教/斉藤 史恵 ワインの「おいしさ」は「色」「香り」「味」が三位一体となってつくりだしています。すなわち、「おいしい」ワインを造るためには、「色」「香り」「味」に関わる成分の化学構造や性質、生成する要因を科学的に解明することが重要です。私たちは、醸造中や熟成中に、どのような成分がどのようなメカニズムで抽出・生成されるのかを解析し、より優れた醸造技術への応用を目指しています。また、人がおいしさを感じるメカニズムについても注目しています。嗜好性や生体調節効果を持つ化合物を利用することで、より魅力のあるワインを造ることを目指し、研究に取り組んでいます。食品製造を科学的に理解し、実践するフロンティア★食品製造学研究部門教授/舟根 和美 准教授/三木 健夫 食べ物のおいしさ、食べやすさに直結する、食品の食感や製造方法に関する研究をしています。様々な加工条件による食品の性質を、食品の物性と構造の両面から解析し、新たな食品価値を創造します。さらに酵素を利用した新しい食品素材の開発にも取り組みます。 また、酵母の遺伝子に関する研究を行っています。発酵食飲料製造に欠かせない「酵母」の性質は、遺伝子の相互作用によって生じています。遺伝子を構成するDNA配列を多面的に解析し、様々な情報を得ることにより「酵母」の持つ高次機能についての研究(高浸透耐性、アミノ酸資化性、細胞外タンパク質機能等)を行っています。栄養素の健康維持に対する役割を研究し、地域に貢献する★食品栄養学研究部門教授/望月 和樹 助教/石山 詩織 私たちは、毎日食物から多くの栄養素を摂取して生きています。これらの栄養素には、エネルギー源となる栄養素(糖質、脂質、タンパク質など)、体を形作る栄養素(タンパク質、ミネラルな ど)、代謝を助ける栄養素(ビタミン、ミネラルなど)などがあります。健康な生活を営むために、これらの栄養素の適正な摂取が必要となります。さらに、近年では、これらの栄養素に区分されない食事因子(食物繊維や、抗酸化食品成分など)も私たちの体にとって大切な役割を担っていることがわかってきました。食品栄養学研究部門では、食生活と密接に関連している疾患(生活習慣病やアレルギー疾患)の予防を目標に、栄養素および食事因子の役割を探求することを目標に研究を行っています。発酵を科学し、豊かな食生活に貢献する★発酵微生物工学研究部門教授/柳田 藤寿 准教授/岸本 宗和・乙黒 美彩 ワインをはじめとする発酵食品の製造において、酵母や乳酸菌は様々な成分の生成を通して発酵食品の品質に大きな影響を与えています。我々はワイン醸造環境(ブドウ園、ワイナリー)や自然界(湖、花)から酵母や乳酸菌などの有用微生物を探索し、香気成分や代謝産物など微生物の持つ未知の能力を解明することで、ワインや発酵乳飲料など個性豊かな発酵食品の開発を目指し研究を行っています。■研究室紹介

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