『学生が積極的に参加し、主体的に学びを深めていける授業を、大学の専門科目でも行うことはできないだろうか』。多くの大学が抱える課題への一つの解として導入されたのが反転授業であり、その原点には、一人でできる講義は家でやり、みんなが集まる授業では、大人数だからできることをやろうという考えがあります。 従来とはまったく違う授業形態なので、本当に可能なのかとの疑念もありましたが、学生は案外すんなりと受け入れてくれています。学習意欲が高まるのか、ほとんどの学生が事前学習を取り組みの成果反転学習では、事前学習した内容を確認し、理解を深めるために、教員との質疑応答、グループでの議論や演習などアクティブ・ラーニングにより学習を行います。これは学習内容の理解を深めると共に、プレゼンテーション能力や主体性、協調性も高まる効果があります。右は、工学部のある専門科目の成績を2年分比較した図です。これまでの授業方法による成績が青、反転授業導入後の成績が赤で示されています。これにより、反転授業導入後は、高得点者の割合が大幅に増えていることがわかります。メカトロニクス工学科 山下直志 くん 先生が配信される動画を見て、ノートを作るのが事前学習です。スマホやタブレットにダウンロードして授業の空き時間に視聴したり、わからない部分は何度も見直したりと、自分のスタイルで無理なく勉強できますし、最初は手間取ったノート作りもすぐにコツがつかめ、負担は感じませんでした。 授業中は4〜5人のグループで課題に取り組みます。仲間と説明し合ったり助け合ったりするのはとても楽しかったし、議論を通して理解が深まっていくのも感じました。また、先生が各してきますし、授業中寝ている姿も見かけません。逆に、当初は聞いているだけだった学生が、回を重ねるうちに自分から発言するようになるなど、積極性やコミュニケーション能力も養われています。 学生からは、「時間がかかって大変だ」という声はちらほら聞こえてきますが、「難しすぎてわからない」といった声は聞こえてきませんし、どこからかコピペしてきたような課題やレポートも無くなりました。成績も全体的に向上しており、確実に理解度が上がり、知識も定着しています。グループを回ってサポートしているので、気軽に質問することもできました。一方で、試験対策については直前にノートを見直す程度で十分でした。授業中に問題を解いたり議論したりして能動的に学んでいるので、記憶に残りやすいのだと思います。 グループでの演習は、自分の考えを伝え仲間の意見を聞くことで成立します。毎週のように経験したことで、チームでモノづくりをするためのコミュニケーション能力も、養われたように感じています。森澤正之教授(メカトロニクス工学科)16成績調査結果成績調査結果10090-9980-8970-7960-6950-5940-4930-3920-2910-190-9反転授業導入前反転授業導入前導入後導入後楽しかった反転授業。事前学習+グループ演習で、確かな力が身に着きました。授業を通して切磋琢磨することで、理解度が上がり、成績も伸びています。反転授業では、成績向上などの成果が見られます。反転授業ってどんな授業?反転授業を経験した学生と指導されている先生に伺いました。Interview
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