山梨大学 大学案内 2025
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202511放線菌や酵母といった産業上、重要な微生物を研究「グリア細胞」に注目し、脳機能の基本原理及び各種脳疾患の解明に取り組む脳は1000億の神経細胞とその数倍ものグリア細胞で構成されています。これまでグリア細胞は、電気的な活動性が低いことから殆ど注目されませんでしたが、実は様々な働きで脳を制御していることが解ってきました。山梨大学はグリア細胞研究のメッカです。GLIAセンターを中心に脳・グリア・免疫研究を進めることで、新しい脳の仕組み、疾患の病因解明が期待できます。山梨GLIAセンター 小泉 修一 センター長私達の身の回りには多様な微生物がいて、その中には誰も見たことのない未発見微生物がいます。私はその中でも放線菌に着目し、探索・収集を行っています。未発見の放線菌を見つけるには分離方法を考案する事が必要で、時には突飛な発想転換が必要です。若い人の柔軟な発想は未発見微生物を見つける糸口になるでしょう。応用微生物学研究室 山村 英樹 教授抗生物質などの医薬品の生産菌として広く知られている放線菌、発酵食品に欠かせない酵母や乳酸菌、バイオマスエネルギーを作り出す藻類などは、人間社会の諸課題を解決する機能を持つ有用な微生物です。なかでも放線菌はノーベル賞級の世界的な治療薬を作り出しており、本学出身の大村智博士はこの放線菌から抗寄生虫薬を発見しています。山梨大学には日本各地の様々な自然環境から集められた放線菌を約4000株保有しています。この中から多数の新種や新規化合物の発見が行われており、今後、薬剤耐性菌や治療薬が存在しない難病に対する効果的な新薬の開発を目指しています。放線菌以外にも有用な微生物を利用した地球規模課題の解決を行う研究も行われており、このような研究分野で活躍できる人材の育成にも力を入れています。微生物には多種多様な機能を持ち、その機能を発見・応用していくことで我々の生活はより良いものになっていきます。脳には未解決な部分が多く残されていますが、近年これらを解く鍵として「グリア細胞」が注目されています。「山梨GLIAセンター」は、このグリア細胞に注目して「脳・グリア・免疫研究」を展開する世界初の研究センターです。グリア細胞を研究することにより、新しい脳の基本原理解明、これまで不明であった脳疾患の原因解明、さらにその治療法の開発が期待されます。またグリア細胞は脳と末梢臓器・細胞を繋ぐ役割を持っていることから、脳が免疫細胞などの末梢細胞を制御する新しい仕組みの解明も期待されています。「GLIA」には、グリア細胞以外に「GLocal Interdisciplinary Academy」、さらに「繋ぐ」という意味が含まれています。文字通り、山梨から世界を見据え、異分野を繋いだ研究が進んでいます。生命環境学部生命工学科応用微生物学研究室山梨GLIAセンターVOICECEVOICE有用微生物研究グリア・免疫学研究

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